最近は、この七十二候の記録をするときは、七十二候にちなんだものを調べると同時に、その時やその候について自分の得た感動や感情を記録する機会にもなっているような気がする。いつか見返す日が来るのかもしれないし。何よりただの説明だったらそんなものはもうネットにも本にもいくらでも溢れているから。だったら自分がこの七十二候と向き合った、という記録としてはその方がいいのかな、とも思ったりしている。
七十二候も第23の候となった。生命の満ちる小満の二番手を飾るのは、「紅花栄」(べにばなさかう)。意味はそのまんま、紅花が盛んに咲く時期というもの。紅花と言えば最近は油が真っ先に思い浮かぶ。紅花油も、アボカド同様オレイン酸が豊富で上質な脂質を得られる油だったりする。油はよくダイエットの天敵、と言われがちだが、それは古かったり質の良くない酸化した油が、人間の身体の老化を促進する現象である酸化を促進するからであって、新鮮な油は上質な脂質で体に色々な好影響を与えてくれる。そんな紅花から取れる油、結構油の取れる植物というのは多種多様なのだなと、新しい油や植物を知るたびに思う。多分人生で最初に知ったのは菜の花だと思うけど、アブラナって言われるくらいだし。何より最近驚いたのは菜の花=アブラナ=菜種ってこと。呼び方が色々あるのはよくあることだけど、なんとなく名前だけ知っていたものが全く同じだったということを知ったのは中々驚いたと同時に、一瞬明滅する光芒の如き瞬間的な感動を与えてくれる。
そんな紅花についての小話を、いつもの本から引用する。
古代エジプトからシルクロードを通って日本にわたり、平安時代から栽培されてきました。中国の呉から来た藍色という意味で「呉の藍」と呼ばれ、それが転じて「紅」となりました。藍色というと青系の色を思い浮かべますが、当時は色の種類に関係なく染料の意味で「藍」と呼んでいました。
神宮館「暮らしを楽しむ開運七十二候」P70
呉、と一口に言っても春秋戦国時代の呉、三国時代の呉、五代十国時代の呉と色々あるからどれかは分からないが、紅、という言葉のルーツも今や対局の色である藍色から来ているというのもまた面白い。かつては同じものだったものが分かたれて対極になるというのも、陰と陽の関係みたいで運命的なものを感じたりする。
そんな紅花、今は山形県の高瀬地区周辺に多く咲き誇り、最上川流域の紅花は最上紅花と呼ばれているそう。この時期に咲いているかはまだわからないけど、いつの日かそういった紅花畑で一面金色の化粧を施された花畑を見て見たいものだね、さぞかし壮観だろうから。
そんな紅花も菜の花と同じでやっぱりアブラムシには悩まされるらしく、テントウムシがアブラムシを食べることで健やかに育っていく。だからテントウムシは紅花栽培を生業とする農家には親しまれているんだとか、そういった共生関係があるのも地球、って感じがしていいなって。
そしてこの時期の旬となる食べ物は、シソ、即ち大葉。年中出回っている、いわゆるとき知らずにあたる野菜だけど、本来の旬は初夏から盛夏にかけてらしい。冷え性予防にも、香りによるリラックス効果もあるので、夏バテ防止にはもってこいの逸品。夏の味噌汁は吸い口に大葉を添えていただくのも悪くなさそう。最近の味噌汁は五菜三根、あの徳川家康に倣ってやっているんだけど、吸い口として一菜を大葉にしてみようかな。
そんな紅花の鮮やかさに思いを馳せながら迎えた小満の次候。紅花畑に平日に行くのは難しいから、せめて紅花油や道ばたにある華やかな色の花を見て紅花栄を感じようと思う。
